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東京地方裁判所 昭和36年(ワ)6972号 判決 1964年6月22日

甲事件原告

石川一義

乙事件原告

石川準子

(ほか七名)

以上全原告訴訟代理人弁護士

馬場正夫

甲乙事件被告

東京都

右代表者交通局長

佐藤登

右訴訟代理人弁護士

木村忠六

主文

1、被告は甲事件原告石川一義に対し金四万円、乙事件原告石川準子、、同石川おとに対し各金二万円、同石川義弘、同石川準二に対し各金一万円、同石川洋子に対し金五千円、同斉藤よし子に対し金一万五千円、および各金員に対する昭和三五年八月二一日から、完済まで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

2、右原告等のその余の請求および乙事件原告折茂嘉宣、同川辺武利の請求をいずれも棄却する。

3、訴訟費用は、両事件を通じて右1の原告等が支出した額の三分の一を被告の負担とし、原告折茂嘉宣、川辺武利と被告との間では被告が支出した額の九分の二を両原告の平等負担とし、その他は支出した各自の負担とする。

事実

原告等の申立と主張

(請求の趣旨)

一、被告は原告石川一義に対し、金五〇万円、その余の原告等に対し、各金五万円及び右各金員に対する昭和三五年八月二一日から完済まで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。

二、訴訟費用は被告の負担とする。

三、仮執行の宣言

(請求の原因)

一、当事者の地位および関係

(一)  被告東京都の交通局長は、その高速電車建設部を主務部局として、都営地下鉄計画路線第一号線建設工事(以下単に本件工事と略称)のうち、墨田川底を、吾嬬橋畔から駒形橋付近に向つて斜めに横断する。四三六米部分において一箇の長さ八米乃至二四米の潜函九箇を順次に地下或いは川底に沈下させてこれを順次に連結貫通させるいわゆるケイソン工事を計画施工した。

(二)  右工事は、主として浅草工区ケイソン部を訴外株式会社間組に、墨田川工区ケイソン部を訴外白石基礎工事株式会社(以下単に訴外両請負会社と略称)に請負わせ、昭和三四年三月頃着工し、翌三五年八月末頃完了したものである。

(三)  原告石川一義は右期間中およびその前後を通じて右工事現場から最短約二〇米、最長約三〇〇米の地点に一家を構え居住しているものである。(以下省略)

理由

一、被告の工事と原告等の居住地

(一)  被告が請求原因一、(一)(二)のような都営地下鉄計画路線第一号線の建設に着手し、訴外株式会社間組に浅草工区ケーソン部の、同白石基礎工事株式会社に墨田川工区ケーソン部の各工事を請負わせ、両工事は昭和三四年三月頃着工され昭和三五年八月末頃完了したこと(これを本件工事と呼ぶ)、その工事の概要は請求原因(一)のような作業であつたこと、原告石川一義が右期間およびその前後を通じて右工事現場の近くに一家を構えていたこと、この家屋から本件工事現場までは近い地点で約二〇メートル、遠い地点で約三〇〇メートルあつたことは、いずれも当事者間に争いがない。

(二)  原告一義の家族としては、乙事件原告の地位にある妻準子(昭和五年一月一一日生)、同長男義弘(昭和二八年七月二四日生)、同次男準二(昭和三〇年八月二九日生)、同長女洋子(昭和三五年一月一五日生)、同継母おとが、また原告一義の使用人としては、乙事件原告折茂嘉宣(昭和一九年六月八日生)、同川辺武利(昭和一九年七月一四日生)、同斉藤よし子がいずれも前記家屋に居住していたが、そのうち原告洋子は昭和三五年一月一五日出生と同時に、同折茂は昭和二五年四月頃から、同川辺もその頃から、前記家屋に居住したもので、後二者は同年一〇月頃退去したこと、原告斉藤は本件工事の着工以前から昭和三五年三月頃まで、その他の原告等は前記工事期間中継続していずれも前記家屋に居住していたことは(証拠―省略)および弁論の全趣旨を総合して認めることができ、反証はない。

二、本件工事による騒音の発生と程度

(二) 本件工事を請負つた両訴外会社が、前示のようなケーソン工事を施工するに際し、エアハンマー、エアコンプレッサー等の土木機械を使用し、またコンクリートミキサー車、ダンプカー等多数を利用したことは被告も認めるところであるが(証拠―省略)を総合すると

1  本件工事は地下鉄第一号線を建設するため隅田川の河底部分一九三メートル七〇センチに潜函(ケーソン)九箇をその隣接部分に一一箇(以上のうち隅田川工区は河川部分九箇、陸上部分一箇)の潜函を沈下埋設させるもので、そのうち河底部分は河中に二重鋼矢板式締切工法によつて築島し、その上に現場築造ケーソンを据え付けてから、これを沈降させる(現場打設)築島ケーソン式の工法によつたこと、

2  築島ケーソン式工法が採用されたのは、東京都に設けられた学識経験者で構成されている技術委員会で、開さく式、沈埋式と対比検討した結果、工事の規模、安全確実性、立地条件、工費およびわが国における経験の多少を総合して最も安全、有利と判断されたからであること、

3  施工上の特殊な問題として、河中に築島のための締切堤を設けるときは当然治水および航運の安全に影響を及ぼすこと、とくに洪水期の河川流量の増加をいかに処理するかについて種々検討された結果、洪水期には川幅一四八メートルの三分の二を開放するよう護岸線から五〇メートルの距離内に締切堤を後退させることにし、そのため渇水期に隅田側に七五メートルの締切堤(第一次締切堤)を作り、洪水期までにこれを五〇メートルに後退させて工事を続け、次の渇水期には浅草側に九一メートルの締切堤(第二次締切堤)を作り、洪水期にはこれを同じように五〇メートルまで後退させて施工する「二渇水期二回締切り」の方針をとつたこと、そのため第一次締切堤の突端部で施工されるNo.5ケーソン、第二次締切堤の突端部で施行されるNo.4ケーソンは非常に急速な施工を余儀なくされたこと(右両ケーソンはそれぞれの締切堤のうち洪水期までに撤去される部分に施工されたもので、これらのほか第二次締切堤のNo.3ケーソンも同じ部分に施工されたこと)それのみでなく、締切堤を撤去する場合の矢板(シートパイル)抜きも出水期が迫つてからの急速施工を余儀なくされ、しかも打込み後六箇月も経つての河中での作業であるため極めて難渋し、「組立て櫓」にも前後六回の工夫改良を要したほどであつたこと、

4  これら工事の主要資材量は隅田川工区が生コンクリート約一四、一〇〇立方米(コンクリートポンプ二台で護岸からケーソン施工現場へ圧送した)、鉄筋約一、四五六トンに達し、第一次築島(第一次締切堤)用シートパイル九三四枚(第二次築島用シートパイルも、締切堤の延長から推してこれより少くないと考えられる)を要し、浅草工区は生コンクリート約一六、九〇〇立方米、鉄筋三、一〇六トンを要したこと、これら資材の運搬のためにトラツク、コンクリート、ミキサー車、ダンプカー(築島用土砂の運搬等)が多数使用されたほか潜函工事のためにクレーンを多用したこと、

5  本件工事は、このように多くの資材を使用し、しかも短期間に完成させる必要があつたので、昼夜兼行で施行されたが、昼間は都市部の交通がふくそうするため夜間に比較すると工事の進行速度がやや落ちる感じがあり、ケーソン工事に限つてみれば夜間作業がほぼ七割程度の比重を占めたこと、

このような工事現場から発する騒音は、音源である機材の使用程度、工事内容等によつては日々多少変化していつたけれども、原告等の居住する一帯すなわち浅草雷門一丁目一二番地附近の町内では、本件ケーソン工事の期間中は夜間の睡眠が充分とれない程の大きさに達し、原告一義その他近隣の者は、対策委員会を結成するなどして、工事現場責任者、所轄警察署、保健所等に再三出向いて、少くとも深夜の騒音くらいは防止してもらいたいと要請したところ、なかにはこれに同情しなんらかの措置をとろうとしてくれた部門もないではなかつたけれども、工法上適切な防音措置を見出すことができずそうかといつて夜間作業を中止することもできないとして、いずれの部門からも実効性のある措置は結局とられず、なんら満足すべき結果は得られなかつたこと、

6  このように毎日の騒音は音源、音量などにおいて必ずしも同一ではないけれども、たとえば証拠保全手続として実施した昭和三五年八月一〇日の検証および鑑定の結果でも

(1)  同日午前一〇時頃から正午にかけて原告一義宅で測定した昼間の騒音は、

(イ) エアハンマーの打撃音七五ないし八四ホーン

(ロ) コンプレスト・エアーの排出音 七三ないの七七ホーン

(ハ) クレーンの操作音 七五ないし八〇ホーン

(ニ) 機械操作の合図となる汽笛の音 八五ホーン位

であつたこと、

(2)  これに対し、右原告宅に入つてくる右時刻の街の騒音は、同時刻頃で七〇ホーン、吾妻橋を都電が通るときに入つてくる騒音が八〇ホーン前後(いずれも日中の騒音)であつたこと、(イ)のエアハンマーの音は主にシートパイル(矢板)を打ち込みあるいは引き抜く作業の時に発生するもので「ガッシャン、ガッシャン」と聞こえること、(ロ)のコンプレスト・エアーの排出音はエアコンプレッサーから発生するもので「シュー・ザー」と聞こえること、(ハ)のウレーン操作音は「ガア・ガア」と聞こえ、(ニ)の合図用汽笛音は「ピイー・ポー」と聞こえ、ミキサー車、ダンプカー等の車輛エンジンの騒音は「ゴウゴウ」と聞こえること、

(3)  右証拠保全手続を実施した時は、本件工事も峠を越したときで、工事も地下二〇メートル位の所に下り、騒音ができるだけ外へ洩れないように、潜函の上には板を乗せ、一部の音源の周囲にはシート(天幕)を張り、護岸の民家近くにはトタン塀を設置し、コンプレスト・エアーが水中に排出されるようにホース先端を水中に入れるなどして音量を減少させることに努めた後であつたこと、それでも本件工事現場の騒音は非常な不快感を生じさせるもので、前示の吾妻橋上を通過する都電の騒音が音量の額ではこれと大差ないことが奇異に思えるほど人体に与える感じは相違していたこと

がそれぞれ認定でき、これを左右する証拠はない。

(二) 右に認定した各事実と、(証拠―省略)と対比して判断すれば、右(一)6の騒音量と若干の差異はあるにしても、原告等主張のとおり昭和三四年五月中頃から昭和三五年八月末頃までの間はほぼ同じ程度の騒音が本件工事に伴つて工事現場から発生し、それも休憩時などを除きほぼ一日中間断なく続き、とくに原告等が本訴で主張する午後一一時から翌日午前六時までの深夜の時間帯でも、騒音の量にはさしたる増減がなく、したがつて街頭の騒音(本件工事現場から工事に伴つて生じる前示認定のような「特定騒音」に対して、これを「暗騒音」という)が減少したこのような時刻(深夜)には、一段と本件工事現場からの騒音が耳に強く響き、原告等はもちろん、原告等の居宅の附近に居住する人々もこのような騒音の刺戟によつて、右時間中の睡眠を大なり小なり妨げられたであろうことは推認するに難くないところである。

(三) このように本件工事騒音によつて原告等が睡眠を妨げられた度合を数量的に把握する的確な資料はないが、(証拠―省略)を総合して検討すると、

1  八〇ホン以下の音量であれば音の性質に関係なくまたどんなに長時間聞いても難聴症状を起す心配はないし、種々の周波数成分を含んだ広帯域騒音は、純音および狭帯域騒音よりも悪影響が少く、心理的不快感も少いし、高音成分よりは低音成分の方がどちらかと云えば人体への影響が少いこと、(本件騒音は前示(一)(二)の検証結果から推して、概ね八〇ホン以下で、そのうちエアコンプレッサーの排気音、と汽笛にはかなり高周波成分を含むものと推測されるがその他は低音成分が多いものと推測され、全体としてはどちらかと云えば広帯域騒音に該当すると判断される)

しかし、本件騒音のように一日中間断なく続き、それが長期間継続することは、瞬間的、一時的な騒音の場合よりも人に与える影響は大きいこと、

2 騒音の大きさを具体的な例によつて説明すると、普通の音声で話す場合に対話者間の距離が五〇センチならば騒音(White noise)は七一デジベル以下、距離二メートルならば騒音は五九デジベル以下でなければ聞き分けることができず、まま大声でも前者の場合は七七デジベル、後者の場合では六五デジベル以下でなければ聞き分けられないこと(デジベルは一、〇〇〇サイクルの高さの音で普通の健康な人が聞き得る最も小さな音量((物理的な音の強さ))を0デジベルとし、常用対数で表わされるが、耳に感じる音の大小は周波数構成を度外視することはできず、物理的強弱を示すデジベルとは必ずしも一致しないので、耳の特性に合わせて修正((聴感度補正した))計量単位がホンと呼ばれるが、ホンも常用対数で表わされるため八〇ホンの騒音は七〇ホンの騒音よりも二ないし三倍の大きな音に感じられる。)

3  前記(一)、(二)の結果から推して、本件騒音(特定騒音)夜間に限つての影響をみると、日中に測定されたこの特定騒音は本件工事と関係のない街頭の騒音(暗騒音)も含んでいると考えられるので、この点を補正したとしても、本件特定騒音のレベルは上限値において前記(一)6の結果とほとんど変らないものであることと、ここで暗騒音として考慮した都電の走行音などは、騒音レベルの点では本件特定騒音と大差ないとしても、生活習慣の上から聞き慣れたものであり、騒々しさ、不快感などの心理的効果に著しい差があり、周波数構成、頻度、持続時間も異ること、そのため本件工事騒音のようなものは、一般の街の騒音から際立つて耳に感じられ、より不快な感じを与えること、

(1)  とくに本訴で問題とされる午後一一時から午前六時までは、社会の生活慣習上もつとも静寂な時間帯であり、昼間は聴取が意識にのぼらないような小さな音でもよく意識されること、つまり騒音レベルは同じでも夜間はより明瞭に聞きとられること(これは暗騒音との差の大小や生活行動の差異によるもので、騒音の不快な度合は一般的にいつて夜間の方が著しいこと)

(2)  ドイツにおける実験例によれば、午前二時から午前七時の睡眠中に三〇ホンないし七〇ホンの各種レベルの騒音(五〇サイクルないし五、〇〇〇サイクル)を三分間づつ聞かせ、目覚めた人の割合を調べたところ、三〇ホンでは一〇パーセントの人が目覚めるにすぎないが、七〇ホンでは九〇パーセントの人が目ざめたこと、

(3)  日本における実験例でも、騒音レベル三〇ホンないし七五ホンの五〇〇サイクル音を三秒づつ三〇秒ないし五分のランダム間隔で聞かせ、夜の就眠までの所要時間と、朝の覚醒までの所要時間とを調べたところ、四〇ホン以下ならば平均二〇分ないし三〇分で睡眠に入るのに、七五ホンでは六〇分に延長されるし、前者では覚醒に一〇分を要するところ、後者では一分内に覚醒したこと、

(4)  脳波を検査しても騒音下では熟睡の度合が甚だしく低下すること、

(5)  したがつて夜間睡眠を妨げないためには、できれば寝室内の騒音レベルは三〇ホン以下が望ましく、少くとも四五ホン以上は望ましくないこと、それゆえ日本公衆衛生協会の都市騒音基準でも午後一一時から午前七時までの夜間の騒音は住宅地で四五ホン以下、工業地でも六〇ホン以下とする基準が立てられていること、

4  このような事例および研究結果から推しても、夜間就寝中、原告等居宅における本件工事騒音が七〇ホンを越したことは、その頻度、持続時間がそれほどでないとしても、原告等の眠りを妨げるに充分なものであり、本件証拠保全手続の際の検証結果に明らかな程度に頻繁に本件騒音が続くときは眠りに入つても睡眠は浅く、かなり頻繁に覚醒させられ、したがつて健康の保持、日常の生活に必要な睡眠量を確保することが困難になること、もつとも直接診断ないし計測できるような健康障害、疾病、後遺症などは特殊な事情がない限り検認することは難しいし、それを騒音にのみ帰せしめることの証明は容易ではないけれども、一般的に睡眠の妨害による休養不十分からくる生活行動の支障は周期的に起るものであること、

5  原告等に個人差はあるとしても、深夜から未明にかけての本件工事騒音によつて十分な睡眠を妨げられた点では例外がなく、それがひいて昼間に眠さを覚えさせる結果となり、生活および作業能力等になにがしかの悪影響を及ぼしたこと、とくに原告一義は自動車を運転するときにこれを強く感じたこと

がそれぞれ認定できこれを左右するような証拠はない。

原告等はこのほか請求原因三、(三)のような生理的な機能の障害があつたと主張するけれどもその事実およびそれが本件騒音に起因することを確認するだけの証拠はない。

三、騒音の発生と不法行為の成否

(一)  右に認定したように、午後一一時から翌日午前六時までの深夜、未明にわたる本件工事騒音が、夜間の睡眠を十分に確保するうえで望ましくないとされている四五ホンの限界を遙に越えた大きなもので、これが昭和三四年五月中頃から昭和三五年八月末頃までの期間における原告等の右時間中の睡眠を著しく妨げたことは否定できないところとみられる。そうであるところ、人の生理にとつて睡眠は欠くことのできない基本的な欲求であることは周知のところであり、本件のように長期間にわたり深夜に十分な睡眠をとることを妨げられるときは、ある意味では物質的な損害以上に甚しい苦痛を感じることがあり得ることも否定できない。

このような睡眠の役割から考えると、長期間にわたり深夜から未明にかけて人が最も安眠を欲するときに、睡眠を妨げるような著しい騒音を発生させる行為は、たとえ騒音発生の原因である行為自体が違法でなく、むしろ社会的には有益な行為であるとしても、騒音の程度が社会生活を営むうえで各自が受忍するのが妥当であると認められる限度を越えるときは、なお不法行為を構成し、よつて生じた損害を賠償すべき義務を免れることができないものと解するのが相当である。そしてこのような場合における行為の違法性は、騒音発生の原因となつた行為自体が適法なものであるかどうかではなく、侵害を受けた生活上の利益が法的保護を受けるに値するものであるかどうかおよび侵害がその態様、程度からみて社会生活上各人が受忍しなければならない限度を逸脱しているかどうかの観点から判断すべきものと考えるのが正当である。

(二)  このように考えると、本件で争われている午後一一時から翌日午前六時までの時間は他人に妨げられることなく睡眠を享受できるようにしたいという個人の要求は、それを人格権的なものと説明するか否かは別として、人の生存に関わる根源的な欲求であること自体において、すでに法的保護の必要性を肯定することができるから、いわば私生活の平穏を侵されたものとして、その損害の回復を求める者に法的な保護が与えられるべきものと解するのが正当である。

もつとも今日の実情では、騒音と評さなければならない程度の騒音一切を社会から追放することは不可能であり、関係者の注意と技術的な工夫とによつて騒音を軽減することは期待できてもそれすらも、今直ちに実現し得ることを期待できる段階にはない。したがつて今日の社会の技術的、経済的な発達の程度を考慮に入れれば、社会の成員として、なお相当程度の騒音は受忍しなければならない場合があるものと解され、その受忍の限度は結局は社会の経済的、技術的な発展の程度に応じて変つて行くものであることは否定できない。すなわち、いかに社会生活上、騒音の発生が不可避的な現象であるとしても、どのように激甚な騒音でも受忍しなければならないわけではなく、騒音の大小、発生時間等から、他人の生活に及ぼす影響を検討し、他面その騒音の原因となる行為が社会的に正当なものと認められるかどうか、騒音防止の技術的な方法が開発されているか否か、その採用が経済的に不合理な程度の費用を要するものかどうか、等を考慮して受忍の限度を画しなければならないと考える。

このように考えると、経済的に合理的な範囲で工事騒音を防止する技術的な方法が無いからといつて、そのことのみで不法行為の成立を否定すべきではなく、そのことは右に説示したような受忍の限度を画するための一つの資料として斟酌すべき要素となるにとどまるものというべきである。

ここに述べたところを観点を変えて云うと、(イ)騒音を防止、軽減できる技術的な方法が開発されていてその採用が経済的にみて著しく不合理でないのに、(ロ)騒音発生の原因となる行為が社会的に正当な理由を持たない場合には勿論のこと、前二者の例に該当しないとしても(ハ)社会生活上受忍すべき限度を越えたものとである場合にも不法行為を組成するもと解すべく、ただ最後の(ハ)の場合は、前二者の場合ほど違法性が強くないと一般には考えられるであろうし、事情の如何にもよるが(イ)、(ロ)の場合には損害賠償のみならず侵害行為の差止まで請求できる例も少くはないと考えられるのに反し、(ハ)の場合にはそのような差止請求まで容認される例は極めて少いであろうと考えられる点で差異があるにすぎない。

(三)  このような見地から本件工事騒音の違法性を検討するに、

1  東京都の騒音防止に関する条例(昭和二九年都条例第一号)は、作業音(工場、事業場等の設備または作業により生じる音)等で附近の静穏を害するものを騒音と定義し(第二条)、午後一一時から翌日午前六時までの間においては屋外または屋内から明瞭にきこえる音を出してはならない義務(夜間の静穏保持の義務)を課し(第六条)、一般的にも何人も騒音を発しないように注意しなければならない注意義務を課し(第四条)、第四条、第六条の違反とついては一定の要件の下に拘留、科料を科することに定めている(第一三条)。

2  また作業音の場合ではないけれども音響機器、楽器から発する音源、(音源が建物もしくは施設の内部にある場合はその建物もしくは施設が音源とみなされる)の周辺の建物の境界線において第三種区域では午後七時から一一時までおよび午前六時から午前八時までの時間帯でも五五ホン以上の音量は騒音と定められている(前記条例第二条一号、同施行規則第三条)。そして証人(省略)の証言によれば原告等の居宅はここにいう第三種区域に入つていることが認められるから、この音量基準は作業音等が騒音に該当する大きさに達しているかどうか換言すれば騒音防止条例第二条一号にいう附近の静穏を害するか否かを判定するにあたつての客観的な基準の一として参考にされるべきものである。(現実にも東京都の都市公害部係官が騒音防止条例の実施について行政指導を行う場合の基準も同様の考え方に基づいていることが、証人(省略)の証言によつて認められる。)

3  のみならず墨田川工区ケーソン工事を担当した白石基礎工事株式会社の場合には、警視庁本所警察署から作業許可の条件として、「高音および震動を発する作業は原則として午前八時から午後八時までとし、已むを得ない場合であつても午後一一時までとする。ただしこの時間外でなければ工事ができない場合は、地元居住者の承諾を得た後、警察署に連絡のうえ行うことができる」との留保が付せられていたことは当事者間に争いがない事実である。

右1ないし3の事実と、前記二、(一)6同(三)で認定したような本件工事騒音の大きさとを対比して考えるときは、本件工事騒音は前記都条例第二条にいう騒音に該当することはもとより、午後一一時から翌日午前六時まで夜間の静穏保持を要求している規定にも違反していることは明白である。

もつとも証人(省略)の証言のうちには、本件工事現場の騒音は、騒音防止条例第二条に定める騒音に該当しないとの見解があるが、第二条六号の「工事、事業場等」とは工場、事業場その他これに類するものとの趣旨であることは文理上明らかであり、同条一号の「作業音等」とは作業音その他これに類するものという趣旨であることも同じように明らかであるところ、前記二で認定したような本件ケーソン工事の設備、規模、継続期間等の点から考えれば、本件工事騒音はまさに右にいう作業音もしくはこれに類するものに該当するものと解するのが正当であり、同条例制定の目的にもよく合致するところである。

このような騒音防止条例の規定と前記二、(一)6、(三)で認定したような本件工事現場の騒音の大きさ、およびそれが原告等に及ぼす影響の著しさ、ならびに本訴で問題とされる騒音が午後一一時から午前六時までの夜間であり、右都条例上とくに静穏保持を義務づけられている時間であることから考えて、本件工事騒音は原告等が社会生活上受忍すべき限度を越えた著しい騒音と認めるのが相当である。これを覆す証拠はない。

四、被告の主張についての判断

(一)  被告は本件工事が夜間に及ぶことについても原告等の承諾を得たというけれども、これを騒音による侵害について承諾を得たから違法性は阻却されるとの趣旨に解釈するとしても、被告の主張するような意味での原告等の承諾があつたことを認めるに足る証拠はない。

(二)  被告は本件工事を訴外両会社に請負わせたもので、その注文、指図にはなんら過失がないと主張する。

1  なるほど(証拠―省略)によれば、被告と各請負業者との間に交わされた工事請負契約書中には、いずれも「乙(すなわち請負業者)は工事施行にあたつては、沿線居住者から交通および営業障害または、震動、騒音、塵埃等による苦情が起らないように乙において極力有効適切な措置を講じなければならない」との条項(第一四条)が存在し、被告が各請負業者に指示した土木工事標準示方書にも「本工事は人家に近接しかつ長期にわたつて行う工事であるからその施行に際しては極力防音に努めなければならない。」との指示が存在する(第一四条)ことが認められ、反証はない。

2  しかし前記二、(一)1ないし5で認定したように、本件ケーソン工事はし告もしくはその諮問機関である技術委員会で検討され決定をみた築島ケーソン工法に従つたもので、各請負業者が本件ケーソン工事を午後一一時以降翌朝まで昼夜兼行で行わなければならなかつた理由は、被告の建設工事計画が洪水期を控えた短期間に困難かつ多大の築島ケーソン式工事を行わせるように樹らてれていたからであることは明らかであり、騒音の発生について両請負業者に工法上の欠陥があつたためとは認められない。むしろ証人(省略)の証言によれば右建設工事計画に従つた工事を所定の工期内に完遂するためには、本件工事騒音の発生はある程度避けることができないものであり、両請負業者およびその工事監督を担当した被告の高速電車建設部隅田川建設事務所長が原告等から再三騒音の防止を申し入れられたため、協議のうえ実施できた措置は僅に前記二、(一)6(3)のようにケーソンの上に板を乗せること、一部の音源の周囲にシートを張ること、コンプレストエアーを水中に排出させることおよび護岸の民家近くに塀を設置する程度であつて、とうてい抜本的な防音措置を講じ得るような抜術を持ち合わせていなかつたこと、むしろ原告等や附近の住民から騒音について苦情が申し入れられるまでは、騒音は河面から適宜四散しは、近隣の住民にはそれほど悪影響はないであろうと楽観して着工させた嫌いさえある。

3  のみならず、前示工事請負契約書の第一六条には損害負担の方法として、「(イ)工事の受渡前に生じた工作物または工事上の損害は総て乙(請負人)の負担とする。ただし、甲の責に帰すべき事由あるとき、または天災地変その他不可抗力に基因して生じた損害にして、重大と認められるときはこの限りでない。(ロ)人畜、建造物、道路等第三者に与えた損害は、乙の負担とする。ただし、乙の不注意または施行上の瑕疵に基因しないものについては甲(被告)がこれを負担する。」と定められていることが前掲(省略)によつて認められる。

そうすると、本件ケーソン工事は前示の両請負人が請負つて施工したものではあるが、午後一一時から翌日午前六時にかけて本件工事騒音の発生は被告の工事に関する注文、指示、具体的には工期を短かく定め昼夜兼行の施工を余儀なくさせたことに基因したものと認めるべく、工事請負契約上の右条項に従つても、工事請負人の不注意または施行上の欠陥に因るものとは認められないから、被告が損害を負担すべきことが予定されている場合に該当するものと解せられる。以上の認定を左右する証拠はない。したがつて被告は民法七一六条但書により注文者として、本件工事騒音に因つて生じた原告等の損害を賠償すべき義務を負うものであり、被告の主張は理由がない。

(三)  さらに被告は、本件工事が被告の計画する東京都の交通行政上の緊急事業の一であり、公共の福祉を唯一の目的とする事業体の公益事業であるから、工費の節減のためにも、本件工事騒音は受忍されなければならないと主張する。

1  なるほど本件工事が被告の主張するような企業体の事業であり、その目的が、首都の運輸交通事情の改善に資することを最大の目的としていることは公知の事実であり、本件工事を含めて関係地下鉄路線工事が公共の要請に基づくものであることは原告等も否定しないところである。そして工事が迅速に進められるか否か、工費が低廉であるか否かは、地方公共企業体の事業である以上、直接間接に住民の利害に関係してくるところであるから、被告の主張するところは充分に考慮されねばならないことがらであることは否定できない。

2  しかし、公共の福祉の名の下に個人の権利を侵害することがいかなる場合にも正当化されるわけではなく、公共の必要性と侵害される個人の権利との比較権衡において、本件工事騒音によつて蒙る原告等の不利益が社会生活を営む一員としてなお受忍すべき限度にとどまるものか否かを決すべき問題であることはすでに論じたところである。

3  本件工事が昼間のみならず本訴で問題とされる夜間施工をも余儀なくされた最大の理由は前記二、(一)1ないし5で認定したように隅田川に最長九一メートルに及ぶ締切堤を設置しなければ施工できない築島ケーソン工法によつたため洪水期における同河川の流量調節に万全を期して、工事を急がなければならなかつたからであることは明らかであり、河川の溢水による被害の恐るべきことを考えれば本件工事を昼夜兼行で施行する必要性があつたことは否定できないところであり、現在の自然的、社会的、経済的諸条件からみて、深夜工事も余儀ないものとみられるから、これの差止を請求することはできないと解される。しかし、そうだからといつて深夜の著しい騒音によつて生じる苦痛までが当然に受忍されなければならないものではなく、すでに三、で判断したとおり、本件工事騒音の大きさを考慮すれば、日中その他の時間はいざ知らず、すくなくとも午後一一時から翌日午前六時までの時間については、社会的にみても原告等が受忍すべき限度を越えた生活上の苦痛、不利益を蒙つたものとみるのが相当であり、原告等はこれについて損害の賠償を請求できるものと解すべきである。このように考えるときは、工事の緊急性は妨げられないから、緊急性を理由に損害賠償義務を免れ得るかのような被告の主張は理由がない。

4  被告は、右のような損害まで補填すべきときは工費が増大し、ひいて公共の利益に合致しない結果となるかのような見解に立つが、本件工事が公益性の高い事業であることは明らかであるとしても、すでに判断したとおり、深夜に睡眠を著しく妨げるような本件工事騒音が発生したため原告等が蒙つた苦痛は社会が公共の福祉、利益の名の下に受忍を要求できる限度を越えたものであり、このような公共事業のため一部特定の範囲の人々に損害、不利益が生じたときは衡平の理念の下にむしろ社会全体でこれを分担すべきものと考えるのが相当である。そうであればこのような損害賠償の費用も工事費用に含めて建設計画が立案されて然るべき筋合であり、そうすることは建設費に若干の増加を来すであろうけれども、本件工事騒音による損害の負担について、被告が東京都という地方公共団体であるからといつて、本来その負担すべきところのものを原告等を含む極く一部の住民に転嫁することが許されると解すべき充分な理由は未だこれを見出すことができない。

このように考えられるので、被告のこの点の主張も採用できない。

(四)  このほか、被告は本件工事騒音の発生は不可抗力であると主張するけれども原告が不法行為として主張するところは、午後一一時から午前六時までの間は、静穏を保持すべき義務があるのにこれに違反し、故意過失により原告等に苦痛を与えたというのであつて、本件ではこれらの事実が肯定され、原告等の蒙つた騒音は、もはや社会的にみても受忍すべき限度を越えた違法なものとみられることはすでに判断したとおりである。それゆえ前記三、(二)で判断したとおり、騒音防止の技術が開発されているか否かは右にいう受忍の限度を画する際の資料として参考にはされるけれども、その技術がないことが騒音による他人の法益の侵害から違法性を払拭させる事由となるものではないと解すべきであり、社会一般の人々が生活慣習の上で睡眠の時間とし、法規上もとくに静穏の保持を義務づけられている午後一一時から翌朝六時までの時間に、本件のような著しい工事騒音を発する以上は、そうしなければならない事由があつてもなお、その発生を防ぐ技術的な方法がないことを理由に不法行為責任を免れることができると解すべき理由はない。

五、原告等の損害の意定

以上に判断したとおり、本件工事騒音によつて原告等が蒙つた苦痛について被告には不法行為者としての損害賠償義務があるものと認められるので、前記一、(二)に認定した原被等の事情を斟酌して損害の有無、数額を検討すると、

1  原告折茂、同川辺は本件ケーソン工事の着工後、本件工事騒音が発生している間に、原告石川一義の居宅に住み込むようになつたものであるから、いわば本件騒音の渦中に自らの意思で進んで居所を構えたと同視されてもやむを得ない立場にあるものというべきである。

このように被害者が自らの意思で、現に騒音によつて被害を生じている場所に住居を選定するようになつたときは、特段の事由がないかぎり、その騒音による被害の大半は被害者の責に帰すべき事由によるものとして、民法第七二二条二項の趣旨に従いこれを斟酌すべく、そうであれば騒音を発生させるという被告の侵害行為も、工事現場の自然条件および工法上緊急を要したことのやむを得ない結果であり、その工事自体は違法なもので極めて公益性の高い事業であることをも考慮に入れた場合は、未だこのような自ら招いたに類するような損害についてまで被告に損害賠償義務を負わしめるのは妥当でなく、この種の損害については被害者において受忍すべきものと解せられる。したがつて両原告の請求は結局のところ失当というべきである。

2  原告洋子も昭和三五年一月一五日出生と同時に原告一義の居宅に住居を持つようになつたものではあるが、出生による場合は右と事情を異にするものであるから(本人が任意に選択する余地はない)、母の住居を基準として、侵害が現に行われている場所に住居を選定したものか否かを決すべきものと解されるところ、同原告の母である原告準子は、原告一義、同義弘、同洋二、同おと、同斉藤と共に本件工事の着手以前から夫である原告一義の居宅に住んでいたのであるから、原告洋子については右1で取りあげたような損害発生について被害者の責に帰すべき事情はないものとして判断すべく、そうであれば同原告の損害が受忍すべき範囲を越えていることはすでに説示したとおりであるから、損害賠償請求術を有することは明らかである。

3  本件のような工事騒音による精神上の苦痛を数量的に測定する方法は示されていないけれども、被害者のおかれた社会的地位、年令、家庭生活における役割によつて、多少の差異があることは否定できないところであり、等しく夜間の睡眠を妨げられたとしても、一家の生活を支える者とそうでない者、精神的、肉体的に積極的な活動をしなければならない者と、それほどでない者との間には損害額の意定においておのずから差異を生ずべきものである。しかしながら各被害者の具体的な職務内容、収入、経歴、健康状態、感受性などは、本件のような適法な工事に基づく騒音で、広範囲に及ぶものによる被害それも精神上の被害を論じるにあたつては、特段の事由がないかぎり特殊な事情として考慮の範囲に入れず、捨象し、ある程度の損害の定量、定型化が許されるものと解しても必ずしも衡平を欠くものとは考えられない。

それゆえ、本件においては、未だ幼児、児童の域を出ない原告洋子、同準二、同義弘の間には損害額の点で差等をつけるべき特段の事情も認められないのでこれを同一額とし、原告一義は前記一、(二)に認定したような多数の扶養家族を抱え、収入を得べく積極的に活動しなければならない立場にあるので、睡眠を妨げられることによる精神上の負担も原告等中もつとも大きいと認められ、その他の原告等は原告一義よりは騒音による被害の程度は低いけれども、幼児、児童である前記原告三名よりは被害も大きいものと認めるのが相当であり、他にこれに反する事情があることを認むべき証拠はない。

4  ところで本件工事自体には違法なものがないこと、同工事にはすでに認定したような社会的必要性、緊急性があること、および騒音防止の適当な技術が充分に発達していない現在の社会状態とを考慮するときは、午後一一時から翌日午前六時までの深夜の時間であつてもなおある程度の騒音は、受忍しなければならないものと判断されるので、この点をも斟酌し、右に説示した観点に立つて原告等の損害を判断するときは、昭和三四年五月中頃から本件甲事件の訴状が被告に送達された日に争いない昭和三五年八月二〇日頃までの全期間を通じて深夜から未明(午後一一時から翌日午前六時)の睡眠を妨げられた原告一義については金四万円、同準子、同おとについては金二万円、同義弘、同準二については金一万円、昭和三四年五月中頃から昭和三五年三月頃まで同様の時間に同様の被害を蒙つた原告斉藤については期間の点を考慮に入れて金一万五千円、昭和三五年一月一五日から昭和三五年八月二〇日まで同様にして被害を蒙つた原告洋子については金五千円をもつて相当と認める。この結論を覆すだけの証拠はない。

六、結語

本件各請求についての判断は右のとおりであるから原告一義の甲事件請求、同準子、同義弘、同準二、同洋子、同おと、同斉藤の各乙事件請求は、いずれも右五で認めた慰藉料額とこれに対する不法行為後の昭和三五年八月二一日から年五分の割合による遅延損害金の限度で理由があるけれどもその余の部分は失当として棄却すべく、また原告折茂、同川辺の乙事件請求はいずれも失当として棄却すべきものである。

よつて訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条を適用し、仮執行宣言については必要性を認め難いので附さないこととし、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官石田哲一 裁判官滝田薫 山本和敏)

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